こんにちは。Canaryです。
今回は、PC版MT4をVPS上で稼働させる際に
1台あたり月500円~ (=年6,000円超) 節約する方法
をご紹介します。
【その対応方法とは?】
・・・ズバリ、VPSのOSを (Windowsではなく) Linuxにする です!

これにより、1台につき月々500円~ (=年間で6,000円超) の節約になります。
※使用するVPS業者やVPSのスペックで節約額は変わります。
例)
Canaryの実運用では、VPSを KAGOYA Japan 1台 と Contabo 2台 の計3台を利用しておりますが、WindowsサーバとLinuxサーバの価格差は総額で36,600円/年 (=3,050円/月) と結構な差に!
※2022年5月現在

そこそこ焼肉が数回食べれそうです🤗

「なんじゃこりゃ怒怒怒」という方々向けに、Linux VPSの初期セットアップのご提供 を始めました!(6,000円~、※1)
(※1) 販売カテゴリーの都合上、GdTrader EA ライセンスキーの付属物という形式にさせていただいております。ご了承ください。
【デメリット×3】
まずは、VPSをLinuxにした場合のデメリット3点から。
- デメリット①:セットアップが手間
- デメリット②:動作しないEAがある
- デメリット③:MT4が自動更新されない
デメリット④:Eメール通知ができない👉解決しました!
デメリット①:セットアップが手間
以下にセットアップ手順を記載しますが、まあまあ 難解&面倒 です💧
さらに、問題があった場合に自己解決せざるを得ないケースも多々あります。
デメリット②:動作しないEAがある
Canaryが問題を発見したEAはこれまで1つだけですが、それは『Myfxbook.ex4』(Myfxbookから提供されている取引情報アップロード用EA) です。
- 何故かサーバと通信ができず、EA経由で取引情報のアップロードが出来ませんでした。
- 但し、Myfxbookには代替手段の Auto Update機能 が用意されているので、本件は実質的には問題にはなっていません。
なお、GogoJungleから購入したEAは問題なく動作しております。
- Canaryが購入したEA「時間は平等」(すいかわさん作) は、GogoJungleとの認証も含めて問題なく動作しています。
デメリット③:MT4が自動更新されない
MT4はWindows上で動作させていれば、自動でバージョン更新を検知しアップデートされますが、Linux上では自動更新はされません。
👉定期的に新しいインストーラを取得し、自分でアップデートする必要があります。
デメリット④:Eメール通知機能が動作しない ※解決しました!
PC版MT4では、EAが対応していればEメールによる通知が可能です。

しかし、Canaryが試したところでは (Windowsと同じ設定をしても)、以下のように「Mail: login to smtp.gmail.com:465 failed」と表示されてEメール送信には失敗してしまいました。

- Canaryはメール送信 (SMTP) サーバにはGmailを使っています。
- ファイアウォールを完全にOFFにしても解決されず、原因は今のところ不明です。
- スマートフォンへのプッシュ通知機能も同様に送信できません。
■2020/12/06追記
本件「Eメール通知機能が動作しない」の 対処方法を見つけました ので、別記事にまとめました↓↓↓
※記事の方法で対処できるのはEメール通知のみです。プッシュ通知は修正されません。
【メリット×2】
そして、VPSをLinuxにするメリット2点です!!
- メリット①:VPS費用の節約!
- メリット②:安定稼働!
デメリットの方が多いのでは?と思われたかも知れませんが、 数が重要ではありません!
費用節約+安定 という大きな価値があります!!
メリット①:VPS費用の節約!
本記事の主題であるVPS費用の節約に関してです。
LinuxはOSライセンスフィーが掛からず、WindowsのVPSよりも安価 となるため、これを活用した節約となります。
Canaryは以下の2業者を契約しており、実際以下のように節約できています。
- KAGOYA Japan (※1):月々1,210円(=605円×2台分) の節約
- Contabo (※2):月々約1,000円(=$8.99×1台分) の節約
(※1) Windows:2,145円 → Linux:1,540円 (いずれも4コアプラン1台当たり、税込)
(※2) Windows:$15.98 → Linux:$6.99 (いずれも4コアプラン1台当たり)
メリット②:安定稼働!
一般的に LinuxはWindowsよりも安定性に優れている と言われています。
Canaryも当初はWindows Serverを使用していましたが、勝手にVPSが再起動したケース や (メモリ枯渇や原因不明の動作遅延で) MT4が正常動作しなくなって再起動せざるを得ないケース が度々ありました。
ですが、VPSをLinuxにしてから、異常に伴って再起動が必要になったことは一度もありません。
※Canaryは (念のため) 3ヶ月に1度くらいの間隔でVPSを再起動するようにはしています。

軽く考えちゃいそうだけど、大切な資産を運用するものなので安定性はとても重要!
【セットアップ手順】
LinuxのVPSを構築してMT4を稼働させるまで のセットアップ手順をここから記載していきます。
本手順では、Linux OSに Ubuntu 18.04 LTS を使用しています。
※LTSは「Long Term Support」の略で、長期サポート版 (≒ 安定バージョン) のことを指します。運用環境は安定稼働すべきものですから、できるだけ「LTS」の付いたバージョンを選びましょう。
■2022/2/4追記:
Canaryも利用中の海外の格安VPS業者「Contabo」については、概要・契約方法から使い方までをゲムゲムさんが詳しく紹介されてます。2022/2/4の記事なので超最新情報!
契約をご検討中の方は、まずこちらを御覧いただくと良いと思います!
VPS基本設定
最初にVPSの基本的な設定を行います。
- OSに Ubuntu 18.04 (LTS) を選択してVPSを作成~起動する。
- 例えば、Canaryも利用しているVPS業者「Contabo」であれば、下図のように「Operating System」項目で「Ubuntu 18.04」を選んでください。

- ユーザの追加とSSH設定
- ユーザ「ubuntu」を追加。
$ adduser ubuntu
- ubuntuをsudoグループへ追加。
$ gpasswd -a ubuntu sudo
- SSH経由のrootログインを禁止。 ※セキュリティ向上のため
$ sudo vi /etc/ssh/sshd_config
- 「PermitRootLogin」の行を yes → noに 変更する。
$ sudo service ssh restart
- ユーザ「ubuntu」を追加。
- VPSのファイアウォールを適宜設定する。
- 少なくとも以下の2ポートは必要です。
- SSH:CUI接続用、デフォルトのポート番号は22。
- RDP:リモートデスクトップ接続用、デフォルトのポート番号は3389。
- 上記の各ポート番号は、VPS業者からの指定があればそれに従ってください。
- Contaboの場合は、VPS側でファイアウォールが用意されていないので、Ubuntu OSに自分で「ufw」をインストールします。
- 少なくとも以下の2ポートは必要です。
$ sudo systemctl enable ufw $ sudo systemctl restart ufw $ sudo ufw logging on $ sudo ufw allow ssh $ sudo ufw allow 3389/tcp $ sudo ufw enable $ sudo ufw status Status: active To Action From -- ------ ---- 22/tcp ALLOW Anywhere 3389/tcp ALLOW Anywhere 22/tcp (v6) ALLOW Anywhere (v6) 3389/tcp (v6) ALLOW Anywhere (v6)
- VPSへSSHでアクセスし、タイムゾーンを日本時間(JST)へ変更する。
$ sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo
- 日本時間じゃなくても特に気にならない方は、そのままでも大丈夫です。
- Ubuntuパッケージを最新に更新。
$ sudo apt -y update
$ sudo apt -y upgrade
- もし、「A new version of /boot/grub/menu.lst is available, but the version installed currently has been locally modified.」の警告メッセージが表示された場合は、以下の3行も追加実行する。参考サイト
$ sudo mv /boot/grub/menu.lst /boot/grub/menu.lst.old $ sudo update-grub-legacy-ec2 -y $ sudo apt dist-upgrade -qq --force-yes
- 【Contaboでは不要】メモリスワップ領域を設定。 参考サイト
- 1行目のスワップサイズ (128MB×16=2GB) は、実メモリに応じて調整してください。
$ sudo dd if=/dev/zero of=/swapfile bs=128M count=16 $ sudo chmod 600 /swapfile $ sudo mkswap /swapfile $ sudo swapon /swapfile $ sudo swapon -s $ sudo sh -c "echo '/swapfile swap swap sw 0 0' >> /etc/fstab"
デスクトップ環境のインストール
Ubuntu OSは、WindowsやMacのようなデスクトップ環境はデフォルトでは用意されておらず、CUIのみしか使えません。
これではMT4は動きませんので、自分で導入する必要があります。
色々な選択肢がありますが、今回は軽量で有名なデスクトップ環境「LXDE」をインストールします。

- LXDEをインストール。 参考サイト
$ sudo apt install -y lxde-core xrdp
$ sudo passwd ubuntu
- パスワードは適宜設定ください。※設定しないとLXDEにログインできません。
$ sudo update-alternatives --config x-session-manager
- 「There are 3 choices for the alternative x-session-manager」という表示がされたら、「3」(=/usr/bin/startlxdeの manual mode) を入力しENTER。
- 日本語キーボードの設定。 ※現状不完全です。
- リモートデスクトップで一度VPSにログインし、ログアウトする。
- これにより、下の行で使用するファイル「~/.config/lxsession/LXDE/autostart」が作成されます。
$ echo "@setxkbmap -model pc106 -layout jp" >> ~/.config/lxsession/LXDE/autostart
- 以下の問題が残りますが、MT4の実行自体は問題ないため現状は不問としています。
- キー割当が日本語キーボードになるだけで、日本語入力自体はできない。
- 特定の文字 (“¥”など) が入力できない。
- リモートデスクトップで一度VPSにログインし、ログアウトする。
Wineのインストール
Linux上でWindowsアプリを動作させるためのプログラムである「Wine」を導入します。
Wineも幾つか選択肢がありますが、Canaryは比較検討の結果「Wine HQ」を使用しています。

- Wine HQのインストール。
- 以下のコマンド群を実行しますが、最終行の「winetricks winhttp」のみ、RDPでログインしてターミナルを開いて実行ください。
- 途中で下図のような「Wine Gecko Installer」のダイアログが表示されますが、「Install」ボタンを押して進めてください。
- 以下のコマンド群を実行しますが、最終行の「winetricks winhttp」のみ、RDPでログインしてターミナルを開いて実行ください。
$ echo "export WINEARCH=win32" >> ~/.bashrc $ source ~/.bashrc $ sudo dpkg --add-architecture i386 $ wget https://download.opensuse.org/repositories/Emulators:/Wine:/Debian/xUbuntu_18.04/Release.key $ sudo apt-key add Release.key $ sudo apt install -y software-properties-common $ sudo apt-add-repository 'deb https://download.opensuse.org/repositories/Emulators:/Wine:/Debian/xUbuntu_18.04/ ./' $ sudo apt install -y --install-recommends winehq-stable $ sudo apt install -y winetricks $ winetricks winhttp
![SOLVED] PlayOnLinux Installation Problem - Requiring proxy during installation - MT5 - General - MQL5 programming forum](https://c.mql5.com/3/71/snapshot3.png)
- 日本語文字化け対策。
- ご自分のWindows PCの「C:¥Windows¥Fonts」フォルダから、以下の3ファイルを「~/.wine/drive_c/windows/Fonts」にコピーしてください。
- msgothic.ttc、webdings.ttf、wingding.ttf
- ご自分のWindows PCの「C:¥Windows¥Fonts」フォルダから、以下の3ファイルを「~/.wine/drive_c/windows/Fonts」にコピーしてください。
- 日本語フォントの追加インストール/ロケールを日本に変更して一旦再起動。
$ sudo apt install -y 'fonts-takao-*' language-pack-ja-base language-pack-ja $ sudo localectl set-locale LANG=ja_JP.UTF-8 LANGUAGE="ja_JP:ja" $ sudo reboot
WEBブラウザのインストール
MT4のレポートを表示するため、WEBブラウザをインストールします。
「レポートの表示は不要」という方も、必ずWEBブラウザをインストールしてください。ブラウザを起動できなかったことで ゾンビプロセスが残りVPSが不安定になります。
最低限の表示が出来ればよいので、Canaryは軽量ブラウザ「midori」を使っています。

- 「midori」のインストール。参考サイト
$ sudo apt install -y libjavascriptcoregtk-1.0-0 libwebkitgtk-1.0-0
$ wget http://www.pcds.fi/downloads/applications/internet/browsers/midori/current/debian-ubuntu/midori_0.5.11-0_amd64_.deb
$ sudo dpkg -i midori_0.5.11-0_amd64_.deb
- レポート画面を起動するブラウザを「midori」に置き換え。
$ vi ~/.local/share/applications/wine-extension-htm.desktop
- 以下はDiffです。
5c5 < Exec=env WINEPREFIX="/home/ubuntu/.wine" wine start /ProgIDOpen htmlfile %f --- > Exec=midori %f
MT4のインストール
最後に目的のWindows版のMT4をインストールします。

- MT4のインストーラをVPSにアップロード。
- ファイルマネージャ上から、アップロードしたインストーラをダブルクリック実行。
- 後はWindowsで実行した場合と同じです。
- EAのアップロード等は適宜行ってください。
- 2回目以降の起動は、デスクトップのショートカットまたはスタートメニューから可能です。
- 下図参照。

以上でインストールの全てが完了しました。 後はWindowsと同様にMT4が使用できます。
お疲れさまでした!!
【トラブルシューティング】
以下の2つの問題は、ツイートに記載の通りご対応ください。
- VPS起動後にリモートデスクトップが接続できない
- Big BossのMT4がインストールできない
【まとめ】
ちょっと長くなってしまいましたが、VPS料金を「年6,000円~/台」節約する方法をご紹介しました。
間違いや動かない等のご報告は、下のコメント欄かTwitterまでご連絡頂けたら幸いです。
なお、KAGOYA Japan | Amazon AWS | Microsoft Azureをご利用であれば、セットアップ済みVPSインスタンスのクローン (=まるっとコピーして即稼働) が出来る と言う大きな利点があり、更に効率的です。

初回はセットアップは面倒ですが、
一度やってしまえば半永久的に節約が続く話
ですので、腕に覚えのある方にはオススメです!
コメント
非常に有意義な記事をありがとうございます。
一点お伺いしたいのですが、こちらのやり方はMT4専用でしょうか?
Ubuntu 18.04 (LTS) 自体は64bitみたいなのでWineHQも64bitのものをインストールしてるかなとは思うのでMT5もこのままのセット方法で稼働しそうなのですが、実際動くのかが気になりご連絡させていただきました。
どうか宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
残念ながら、自分の方法だとWINEは32bitとしてインストールしていますので、MT5は動作しないと思われます。
→インストール時に「export WINEARCH=win32」を設定しています。
試しにMT5のインストーラを実行してみましたが「EXEフォーマットが不正です」と表示されてインストール出来ませんでした。
とても良い情報ありがとうございます。
早速VPS契約しubuntu入れたのですが、
クリックしてから反応するまでの動きが遅く感じます。
ドイツにサーバーがあるからだと別の方のツイートを見たのですが
Canaryさんも同じ様な感じでしょうか?
こんにちは。
自分はアメリカと日本のVPSを契約していますが、やはりアメリカの方はワンテンポ反応が遅れますね。
(自分はそこまでは気になっていませんが、慣れてるせいかも知れません。)
また、(特におかしなプロセスもいないのに)なぜか恒常的にCPU負荷が高くて反応も悪いことが一度ありました。
VPSを初期化~再インストールしたら直りましたが、根本原因は不明のままです。
ご参考まで。